必殺仕置人13回目(1973年)

Introduction

 「必殺仕置人」は必殺シリーズの第2弾。作品は半年間(26回)TBS系列(製作は朝日放送と松竹)で放映された。

「必殺仕置人」では「必殺仕掛人」の音羽屋半右衛門(山村聡)ような頭領が存在せず、中村主水(藤田まこと)、念仏の鉄(山崎努)、棺桶の鍵(沖雅也)の合議制で、必殺を行うかどうか決定していた。
高樹蓉子が出演した「必殺仕置人13回目」では念仏の鉄(山崎努)、棺桶の鍵(沖雅也)が必殺を担当した。他にもおきん(野川由美子)、おひろめの(津坂匡章(現:秋野大作))がレギュラー出演している。「必殺仕置人」は前回の「必殺仕掛人」よりも過激な殺人方法を用いたため、番組の人気はあったが、批判にもさらされた。
特に1回目から3回目までは特に殺人方法がねちねちした殺しの方法を用いた。すなわち悪役をいじめまくり殺す方法だった。これにはプロデューサーの山内自身、日本人に会わない後味の悪い殺し方だったので、それ以降はスカッとした殺しに変換した。
さらに73年6月には「必殺仕置人殺人事件」の影響により、必殺シーンもソフトな方向に向かった。


「必殺仕置人」の高樹蓉子の出演

「必殺仕置人」の高樹蓉子の出演は多分、「愛の戦士レインボーマン」の終わった後に出演したと思われる。(これが放送されたとき、レインボーマンはまだサイボーグ軍団編の最初の方だが、彼女自身のレインボーマンの撮影は5月くらいで終了していたのではないか)
高樹蓉子の役は江戸家老の娘の冴で、父の榊原主膳から溺愛を受けていた。このため主膳に不満を持つ多田兵助に人質にされてしまう。
これを最初に彼女はこの「必殺仕置人」を皮切りに4回、必殺シリーズに出演する。
           「必殺仕置人」出演時
           
「必殺仕置人」に出演したときの高樹蓉子

「必殺仕置人」13回目の主なゲスト出演者


林ゆたか:岩城藩の多田兵助役。農民たちの苦しさを知っている多田兵助は何回も農民の苦しみを訴えたが、受け入れられず、家老の娘の冴を誘拐し、岩城藩の問題を訴えようとした。
渥美国泰:岩城藩の江戸家老榊原主膳役。殿様を老中にするため金が必要となり、農民たちに重税を課した責任者。最後は念仏の鉄(山崎努)に仕置きされる。
笠原玲子:冴お付きの女中の加代。奉行所に冴を助けるため事情を説明するとき嘘を言ったが、念仏の鉄、おきん(野川由美子)にとらえられた時はおきんにそそのかされて本当のことをしゃべった。
川口喬:油問屋相生屋の主人役。多田兵助が冴を人質にした拠点。ここは油が多量にあり、人質の拠点としてはもってこいの場所だった。さらに相生屋と榊原主膳とは金を工面する上で大きな関係があった。




あらすじ

磐城藩の江戸家老 榊原主膳(渥美国泰)の娘お冴は道の途中で同じ藩の下級武士多田兵助(林ゆたか)に誘拐され、油屋の相生屋に立て篭もる。磐城藩は藩士に娘の救い出しをさせず、奉行所にそれを密かに依頼した。そこで奉行所は昼行燈で詰め腹を切らすにはもってこいの主水(藤田まこと)に拐かした者をきるよう命じ、主水は念仏の鉄(山崎努)、棺桶の鍵(沖雅也)に依頼し、彼らもお金が欲しいためと与力の鼻を明かすため、兵助を殺すことに招致した。
しかし、多田兵助は別の意味で冴を誘拐した。それは榊原主膳が藩主を老中にするために金がいた。そのため、年貢の取立てが重くなり、百姓が幕府に訴えようとし、結局は藩の人間に捕らえられ、殺されてしまう。これに腹が立った多田兵助は江戸中に騒ぎを起こさせ、幕府に藩の事情を知らせるためこの誘拐をたくらんだ。
誘拐の意味を知った主水、念仏の鉄、棺桶の鍵は榊原主膳を仕置きにかける。結局は仕置きが終わった後、多田兵助は切腹する。


必殺仕置人13回目より 必殺仕置人13回目より
多田兵助に誘拐された冴                多田兵助は冴が好きだったしかし・・・

中村主水の登場の秘話

中村主水(藤田まこと)はこの「必殺仕置人」から初出演し、その後多くの必殺シリーズで出演し、人気を博し、必殺シリーズの看板男となった。彼を選んだのはプロデューサーの山内だった。藤田まこと自身、必殺仕置人に出演するまではどちらかと言うと関西で人気のある喜劇役者で、「てなもんや三度笠」(TBS)で有名だったが、その頃は伸び悩んでいた。藤田まことをレギュラー出演させることには異論が多く出た。それは今まで築き上げた「必殺」のイメージが藤田まことの喜劇性により崩れると言うことだった。
藤田まことの役の中村主水は世の中を変えようと努力したが挫折し、表向きはうだつの上がらない同心だが、裏では世の中の不満を晴らす必殺を行う。その2面性が藤田まことの持ち味だと山内は気づいていた。
この中村主水は表向きの同心としてのお惚けと、必殺の真剣さがうまくマッチし、絶大な人気となる。これにより藤田まこと自身役者として大いに脱皮した。


あとがき
この「必殺仕置人」では高樹蓉子にとってかなり重要な役を与えられた。これ以後も3回必殺シリーズに出演しているが、どれも重要な役ばかりである。もし必殺シリーズの製作が松竹ではなく東映だとしたら、彼女が以前東映の社員だったため、彼女の出演は無かったと思われる。

「必殺仕置人」の後、「必殺仕掛人」の続編をやる予定だったが、「必殺仕置人」に触発されて殺人事件が起こったため、続編は中止となった。他にも出演者が他局に取られ、出演できなかった。(この当時の人気番組は2回目をとらさないため、人気俳優をあらかじめ引き抜いていた)このため、明るいトーンの時代劇をと必殺を抜いた「助け人走る」がスタートした。

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